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~ある恋の結末~

人に誇れるもの?

そんなもの持っていないさ。

ずっと。

もちろん、それなりにはこなしてきた。

学生時代の成績は良くも悪くもなく・・・

いつも真ん中くらいだった。

運動のほうはと言うとこれも中くらい。

そして、高校は、学力的に上位3校には遠く及ばなかったが、かといって、名前さえ書ければ入れる学校・・・というわけでもなく、中堅どころに入学。

高校でも、なんでもそれなりにこなしていくうち、卒業が近づくが、したいことが何も見つからなくて、何となく進学し、二流大学へ。

で、なんとなく大学生生活を過ごし、そろそろ就職活動しなきゃな・・・と、なんとなく始めて、無事、内定を獲得。

一流とは言えないが、零細企業というわけでもない、これまた中堅の食品会社に入社。

そしてやはり、就職してからも営業成績もそれなり。

上司には誉められもしないが、怒鳴られるようなこともなく、空気のように出社、そして帰宅と毎日が過ぎて行く。

なにもない。

いや。

何もなかったんだ。

今までは。

そう。

俺の存在する意味を作ってくれたんだ。

彼女が。

どこにいっても目立たない俺だったが、彼女の里香は俺にとって自慢の彼女だった。

彼女に憧れている男性社員は少なくない。

俺はいつも眺めているだけだった。

何しろ彼女は、美人なうえに、スレンダーながら、しっかり出るところは出て・・・

とにかく文句のつけようがない。

さらに社長と付き合っているという噂があって、とても俺なんかが・・・って思っていた。

その日もいつものように、それなりに仕事をこなし、休憩しながら、いつものようにコーヒーと、ちょっとしたオヤツを・・・

としていると、突然、横から誰かが俺のチョコチップクッキーを一枚奪っていった。

!!!

(誰だ?)

「牧田くん!このクッキーすごく美味しいのね!オヤツ選びのセンスに拍手だわ」

(お・・・沖本さん!?)

俺はすぐに言葉を返す事が出来なかった。

沖本さん・・・いや、里香が俺に話しかけてくるなんて思ってもみなかったから、驚いて言葉がでなかった。

が、この日から、俺と里香の関係は急速に深まって行った。

そして、付き合うことになるまでにそれほど時間はかからなかった。

幸せな日々なのだが、実はこんな俺にも悩みがあった。

それは・・・


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crossroad 人生が交わる瞬間に、、、その76

「今日のニュースです。

午後8時頃、都内のホテルで、爆発騒ぎがありました。

ホテルの宿泊客の男女あわせて8人が死亡、25人が重軽傷を負いました」

・・・。

怖いわねぇ。

このホテル、そんなに離れた場所じゃないわ。

全く、爆破なんて恐ろしい事、どんな人がやらかすのかしらね?

私は夫の帰りを待ちながらテレビを見ていた。

もうそろそろ帰ってくる時間ね。

などと考えながら、テーブルに置いてある夕食を温めなおす。

何時に帰って来るか、最近はちゃんと連絡をくれているのに、今日はまだ何も言ってこない。

まあ、たまに位は許してあげようかな。

「えーっと・・・

40秒っと・・・」

ぐるぐる回っているレンジのテーブル横目に、次にあたためる物を準備する。

「遅くなるのはいいけど・・・

早くしないと全部食べちゃうんだから!」

ー大林ー

「ええ。

消し飛びましたわ。

・・・

ええ。

すべてです。

すべて。」

全く。

先生は心配性で困る。

まあ、次の選挙も控えとるししゃあないか。

あんな資料ごときで騒いでる時点で先生もヤキが回ったってことなんやけど、本人は、全盛期を忘れられず、自分の過去という脱け殻を後生大事に抱え、必死にあがいている。

人間なんて、どんな立派な経歴を積み上げたって、かならず衰退する日がくるんや。

見極め出来ん奴は天国にいけんのや。

そもそも行けやせんけどな。

終わった終わった。

ん?

電話か。

「あ。

はいはい。

大和田先生。

大丈夫ですよ。

今から出ようと思っていたところです。

・・・

はい。

すぐに伺います。」

ー先生と呼ばれる男ー

なんだって?

バレた?

例の資料は、大林が処分したはずだったんじゃあなかったのか?

・・・。

ダメだ!

電話にも出ない!

クソッ!

コンコン・・・

ん?

誰だ?

こんな時に!

「誰だ!私は忙しいんだ!」

ガチャ・・・

「ちょっとお話、よろしいですかね?先生?

もうすぐ、元、が頭につく事になるかもしれませんが」



ー大林 幸雄ー



あの人の所に、無事?捜査が入ったようや。

タレントと同じく、政治家にも旬がある。

色々、助けて貰いはしたが、その分、汚い仕事を請け負い、返してきたつもりだ。

つまりフィフティー&フィフティーって訳や。

あの人は闇が多すぎた。

闇はあってもいい。

あればこそ、俺のように利用する人間が近づけるんやが・・・

多すぎると危うい。

闇に見合う力があるうちはいい。

闇を押さえきれず、表に溢れだしたらおわりなんや。

欲にまみれた人間は、いずれ自滅する。

自滅はあかん。

表の光を受ける場所に、引き摺り出されたらあかんねや。

闇が、闇である為には・・・

欲深いブタは余計なものまで喰らう。

つまり、共倒れは御免やということや。

自滅する前に大和田議員に付いて正解やったわ。

「お連れの方が到着いたしました。」

女将が来客を告げる。

「はいはい。早くお通しして。」

ようやく来た先生の後ろに連れの姿が。

見覚えのある男。

なるほど。

お前があの資料を手に入れて公表したんか。

まあ、なんでもええわ。

危険を感じて、乗り換えるまでの間の時間は稼げたし、自ら引導を渡す手間も省いてくれたんやからな。





「久しぶりやな・・・森田。」



ー森田ー

「本当に久しぶりですね!大林さん!」

懐かしいなー。

私が芸能の世界に帰り咲くことが出来たのは、大林さんのおかげでもある。

散々、苦汁をなめさせられたが、おかげで、ビジネスの裏舞台を知る・・・

そう。

身をもって体験させてもらったたのだ。

そして、今回は、満を持して大林さんを追い込もうとしたが、さすがというべきかな。

大きな泥船が沈む前に、すばやく乗り換えてきた。

まさか、大和田先生に乗り換えてくるとは思わなかったが、簡単に乗り換えてくる大林さんの事を、大和田先生が本気で信頼するとは思えない。

しかも、大和田先生の孫娘は、私のタレント事務所のタレントで、ある意味、身内に近い存在なのだ。

いずれ堕ちるよ。

あなたもね。



ー???ー




「おーい!休憩すんべー!」

「了解!すぐいきます!」

俺は現場の端にある事務所へむかう。

大きめの現場だから、他業者の職人たちもたくさんいて、休憩室は賑やかだ。

俺は、コンビニで買ってきた弁当と、魔法瓶にいれてきたお茶をテーブルに置く。

「仲川ちゃん!今日も買ってきた弁当かい?ええ年して、ええ人おらんのかいや?」

と、声をかけてきたのは最年長の浜松さん。

いわゆるムードメーカー的な存在であり、頼れる兄貴って感じで、周りから慕われている。

「俺、女はカラッキシでね。
ロクなのに当たらないからあきらめてるんですよ。」

「ほうか。
真面目に働くええ男なんやけどのー。
うちの娘なんかどやろのー」

と、いい、がっはっはと笑いながら立ち去った。

もういいんだ。

俺なんかが、大切なものなど持ってはいけないのだ。

俺は全てを失った。

もう、何度目だろう?

あの爆破事件から一年。

あの時、何も知らずにあの場に居続けたら俺は、、、、

森田の秘書が駆けつけて、俺達を逃がしてくれていなきゃ、助からなかったんだ。

森田の秘書がなぜ?

森田のやり方への反発だと言っていたが、理由なんてどうでもよかった。

俺なんて吹けば飛ぶような、ケチな元詐欺師にすぎず、大きな力の前では無力。

幸い、あの事件で、俺は死んだ事になっているみたいだから、大人しくしてればここにいるのも、ばれることはない。

逃げる前に、また、戸籍を金で買い、新しい名前も手に入れた。

そして、ここの人達もいい人ばかりだ。

残りの人生は平和に暮らしたい。

今の願いはそれだけだ。

復讐なんて考えない。

もう、たくさんだ。



ー???ー

騒がしいな。

また、トラブルか?

俺はソファーに座ったまま眠っていたようだ。

眠い目を擦りながら、立ち上がり、店先で騒いでいる奴等に声をかける。

「お前らさぁ。

どこで騒いでるかわかってんの?

場所えらばないとさぁ、、、死ぬぞ!」

全く、こういう輩はどこから湧いてくんのかな?

もっとも、コイツらのような輩のおかげで、仕事があるんだけど。

「はあぁ!?

お前何様なんだ、、、

ってもしかして、、、下村 直樹さん?

ア、、、アンタが面倒みてる店だって知らなかったんだ!

すんませんでした!」

「ははは。

知らなかったんだ?

じゃあ、しょうがないな。

許してやるから、そのかわり俺達の仕事手伝わないか?」

そいつらは初めは驚いてよくわかってなかったみたいだけど、了承した後、今は俺の仲間として、共に仕事をしている。

仕事っていっても、どこにも所属していない用心棒で、ヤクザでもない、カタギでもない、とにかくそんな感じ。

やさぐれた気持ちでこんなことやってるんじゃない。

高井さんは、秀子さんに何も言わず去っていき、それから一年がたった。

俺は、置き去りにされた秀子さんに毎月、仕送りをしている。

頼まれてもいない事だが、高井さんの名前で送金している。

同情と言われればそうかもしれないが、いつか、高井さんが戻ってくる場所を、俺が守っておきたい。

そんな感じ。

そして、仲間を増やしてるのは、いつかくる、復讐の日のため。

「早く帰ってきて、第2ラウンド始めようぜ高井さん。

あんた、まさか負けたままで終わんねえよな!?」




ー安藤刑事ー

事件ってのは、いくら解決しても、次々と発生しやがる。

やれやれ。

うんざりしながら、電話をとる。

また、事件だ。

あの爆破事件から一年。

何故か俺はいまだに刑事でいる。

何事もなかったかのように。

上司に呼ばれ、刑事人生の終止符を、、、の、ハズだった。

しかし、上司の口からは次の任務を言い渡され、俺はその時の捜査の責任者に抜擢された。

訳はその後すぐにわかった。

俺の行動力をかったお偉いさんが、俺を生かすように動いたのだ。

つまり俺は、、、

犬だ。

事あるごとに、俺はそのお偉いさんの尻拭いをする立場になった。

初めは抵抗があったが、慣れてくると、大きな力の中にいる安心感に気付いた。

「これで、、、

これでいいんだよな?」

多かれ少なかれ、世の中はそういう空気で、流れてるじゃないか。

いい中学校に入る。

いい高校に入る。

いい大学に入る。

大企業と呼ばれる、誰もが知っている会社に入る。

出世し、沢山退職金をもらう。

そして、幸せな老後を送り、惜しまれながらこの世を去る。

誰もが「大」の持つ、安心感に包まれたいのだ。

例えその安心感が、絶対的なものではないとしても、、、な。

嫌々だったはずが、今は自分自身がしがみついているのに気付いた時、少し嫌悪感を感じたが、もう、それでいいんだと自分に言い聞かせた。

上司の紹介で、結婚もしたし、今は、それなりに幸せだ。

ん?

電話か?

「もしもし?

はい。

・・・。

わかりました。

・・・。

はい。

お任せ下さい。

今回もすぐに終わらせますから」




ー仲川 雄司(高井 清)ー

残っていた仕事が終わり、事務所に戻る。

岡田はあの後、消息を絶った。

大阪に戻れないから当然、どこかに逃げたんだろうが、あの人はどこでだって生きていけるだろう。

由紀子さんは、、、

あの場に残り、死んだ旦那の後を追った。

思い出したくないが、あの時のことは時々考えてしまう。

そして、事務所のドアを開けようと手を伸ばした。

しかし、中から話し声が聞こえて手を止めた。

浜松さん?

一人?

なんだ。

電話してるのか。




ー森田ー

「ええ。

ありがとうございます。

今月も入金しときますからね。

しっかり見張っててくださいよ?

奴は切り札ですから。

浜松さん?

ちょっと?

聞いてるんですか?」

浜松さん?

電話は繋がったままだが、応答がなくなった。

そして、電話が切られた。

浜松さんと話していたのに、明らかに切ったのは別の人物だよ?

もしかして彼に聞かれちゃったかな?

やれやれ。

まあ、いずれ引っ張りだす予定だったからいいか。

浜松さん殺されちゃったかな?

変なタイミングで火をつけちゃたね。

予定より短いインターバルで、、、

第2ラウンド開始するとしましょうか!?

見てろよ大林。

俺に苦汁を飲ませたアンタを地獄に叩き落としてやるからな!




ー香山 貴子ー

「ちょっとアンタ達!

子供じゃないんだからさっさと用意して!

早く外回り行きなさいよ!」

「わかってますって!

まったく!

香山さんは社長よりウルサいんだから!」

「はあぁ!?

なんですって!?」

ひゃぁー!

と、声をあげながら飛び出していった。

すっかりお局様になっちゃったわ。

あの爆破事件から一年。

私はあの事件で、本当に人の人生が多様であることを痛感させられた。

由紀子さんのしたことは許せないけれど、彼女にも壮絶な過去があって、それをバネに、、、

いい方向には向かなかったが、突き進んだ。

高井さんにしろ、下村くんにしろ、私の知らない過去があって、私の知る彼らがいて、、、。

でも、どっちの彼らも本物だった。

過去も、現在も、未来も、、

彼らは彼らであり続け、私は私であることは変わらない。

どんなに変わっても、変わらなくても、私は私で、彼らは彼らだ。

そんな当たり前のこと、当たり前過ぎて考えないのよね普通。

でも、元々は知らないもの通しが知り合い、その時々を精一杯いきている。

いずれ別れがくるかもしれないが、またどこかで出会うこともある。

そう。

様々な運命が交差する、、、

人生のスクランブル交差点で。




ー高井 秀子ー

ある日、夫が帰ってこなくなった。

他の人と違う何かを感じて結婚したんだけど、本当に普通の人じゃなかったのね。

何か起きる気はしていたけど、まさか居なくなっちゃうなんてね。

下村さんは、「事情は言えないけど必ず戻ってくるから待っててあげて」と言う。

そして、夫の名前で毎月仕送りしてきているのも下村さんだってことはわかってる。

知らないふりをしているのは下村さんの気遣いを無駄にしたくないから。

そして、いまも、心のどこかで、夫が戻ってくるのを待っているのは、下村さんがそういうからではなく、私自身の願望、、、

また、必ず会える。

人生のスクランブル交差点で。





crossroad 人生が交わる瞬間に、、、その75

ー岩田 由紀子ー

「みんなそれぞれ、利用させてもらったけど、ただそれだけの事よ。

例の物?

そうね。

この存在も大いに利用させて貰ったわ。

岡田や浜瀬を誘導するのに、かなり役立ったわね。

中身は何だったのかしらね?

しかもアレはとっくに大林さんの手に戻っているはずよ。」

ー岡田 康夫ー

なんやと?

アレはもうオヤジの手に戻ってるやと?

オヤジにばれんうちに取り返そう思ってた俺は?

俺がオヤジによう言わん事も計算されてたわけか。

情けない話しや。

オヤジに一言でも言うとけば、こんな面倒にならんですんだっちゅうことや。

ん?

そうなんか?

ほんまにそうか?

まあ、そうなんやろ。

なんかようわからんようになってきたわ。

恨まれる覚えなんて、腐るほどある。

俺にとっては、ちっぽけな出来事にすぎん、ようさんある仕事の一つ程度でしかない。

だけど被害者にとっては、その出来事が人生を変える。

だからと言って、こんな形で報復をしてくるとは敵ながらアッパレや。

いままでかて、仕返しにくる猛者なんか、なんぼでもおったけど、俺を脅かすような奴はおらんかったんやけどな。

だけど今度はこっちが由紀子を追い詰めた。

これで終わる。

真二は死んだが、まあ、しゃあない事や。

頭脳の差と言いたい所やけど、今回はたまたまアイツやっただけ。

俺だって死んでてもおかしくなかった。

運がほんの少しだけ「生」の方向に傾いてた。

それだけの事や。

ー下村 直樹ー

「もう戻ってるだと?

なら、浜瀬はともかく、なんで優也を殺した!

しかも、香山さんを監禁する意味は!

復讐に、後の二人は関係ないだろ!

直接、本人達に復讐すりゃあいい話だろうが!」

俺は腹の底から唸りだすように叫んだ。

ハラワタなんて煮えくり返るどころか、もう噴火してる。

他のメンバーの思いはどうだかわからないが、俺はこの、由紀子って女を
ぶっ殺す。

と言う、俺の激しい感情とは裏腹に、やれやれといった感じで由紀子は淡々と答える。

ー岩田 由紀子ー

「関係ない?

それはある意味合ってるけど、本質はちがうわ。

人と人が関わるって事はそれだけで重い意味があるの。

例えば、未成年者が他人の物を壊したら、親の責任になるでしょ?

親は壊してない。

でも、自分はやってないから関係ないとも言えない。

もっと言えば、物を壊された被害者だって、壊されるという形で、加害者の人生に関わる事になる。

たまたま、そこを通ったが為に殺されたなんて事でさえ、被害者と加害者が人生の交差点で出会ったと言い換える事ができる。

優也くんだっけ?

彼なんて、積極的に今回の件に関わったんだから関係ない訳がないし、香山さん?だって、いろいろかぎまわってた・・・っていっても、彼女の場合はただの好奇心や、同僚を心配しての行動みたいだけどね。

まあ、そう言うことよ。

でね、話は変わるんだけど、今ここに集まって、アナタ達と話して確信した事があるの。

私とアナタ達が折り合う可能性は0だと言うことを。

まあ、そんなのは当たり前よね?

奪った側と、奪われた側に折り合う地点なんて有り得ない。

ー安藤刑事ー

岩田由紀子・・・

コイツはヤバい。

コイツの目は未来を見ている者の目ではない。

冷たい・・・生きてはいるが、それは形だけで、心はとっくに死んでいる。

そんな目だ・・・

「高井さん?
もう、こんな女の話しなんかどうでもいいから、香山さんを連れて帰ろう。
この女の目的もわかったんだしな。
こんだけのメンツが揃ってるんだから、何を思っていようがなにもできやしないさ。」

と、言うのはハッタリで、ここに居ることが危険だと感じるから、ここから離れるよう促したのだ。

このメンツ相手に、女一人でなにができる?と言うのは普通の理論だが、コイツは普通とは言えない。

生きているのは肉体のみで、精神は死んでいるから、恐れを知らない。

そして・・・なにより・・・この女の武器は・・・

crossroad 人生が交わる瞬間に、、、その74

ー高井 清ー

危うく騙されるところだった。

まさか私怨でここまで振り回されてたなんてな。

・・・・・・・・

俺は森田を張っていたが、やはり森田はなんの動きも見せなかった。

仕事はほとんど秘書に任せっきりのようだ。

当の森田は、する事がないのか、来客があると嬉しそうに出迎えて、その来客と共に外出していった。

空振りか?

そう考えていた時、事態は動きだした。

森田の秘書が、慌ただしく会社を出て行ったのだ。

オレはもちろん尾行した。

そして、ここのホテルのロビーで、フロントに荷物を預ける時に、告げた名前。

アナタの旧姓。

聞いたことなかったけど、名前の組み合わせですぐアナタだって事と、今回の事件が見えた気がしたんだ。

まあ、ズバリだったみたいだな。

岡田を殺りそこねたものの、浜瀬の頭を吹っ飛ばし、たまたま俺の味方についた優也くんまで殺し、関係ない香山さんを監禁して・・・

たった一人の女性が、死んだ夫の為にそこまでの事を企てるなんて、恐れ入りましたよ。

でもね・・・」

「・・・。」

由紀子はジッとだまったまま俺の話しを聞いていたが、

「でも?何かしら?」

と、その話の先を促した。

「そんな事ならっ!

真っ直ぐに俺たちを殺しに来いよ!

関係ない人達まで巻き込む必要ないだろ!」

俺は叩きつけるように言い放った。

キレイごとを言うつもりはない。

俺だって、他人に説教できるような,立派な人生だったとは言えない。

だけど、因果応報って言うなら俺に真っ直ぐ来い!と。

「ふふふ。

ばかね。

そんな簡単に死なせてあげないわ。

私は大切な人を奪われたのよ?

同じ苦しみを何倍にもして与えてやりたいって事よ。

ジワジワと・・・

楽しんで貰えたかしら?」

「なるほどね。

ちょっとは同情できる話かと思ったけど、そうじゃないみたいだな。

アンタがそんな目にあったのは正にアンタ自身の責任だよ!

アンタが殺した相手にも、死んだら悲しむ人がいるだろ!

自分の事しか考えず、他人に手をかける。

確かに俺だって人を傷つけてきたけど、それを正当化しようとは思わない!

悪いことは悪いと認めているからこそやり直す事ができた!

罪の意識の欠落!

それが!

それが最も大きな罪なんだよ!」



ー下村 直樹ー


「俺はアンタの事情なんかどうでもいいよ。

高井さんを苦しめ、優也を殺したアンタを許さない。

けど・・・

アンタ本当は誰かにけしかけられたんだろ?

本当の黒幕は誰なのさ?」

ー岩田 由紀子ー

「けしかけられた?

私ごときが一人でこんな大それた事できるハズがないって?

ふふふ。

そんな考えだから私ごときに振り回されるのよ?

罪の意識?

そうね。

自分がされて辛かった事を他人にするのはいけないことね。

でも、そんな理屈は、失っていない側の理屈。

麻痺するの。

人間って辛過ぎると、狂ってしまわないように、一部の感情が麻痺するのよ?

わかるかしら?

ふふふ。

ごめんなさいね。」

ー安藤刑事ー

「じゃあ、大林はどうなんだ?

一連の流れには関わっていないのか?

森田は?

どうつながってるんだ?

あと、みんな忘れてるが・・・

例の物ってのは何なんだよ?」

crossroad 人生が交わる瞬間に、、、その73

「急にそんな話されても理解不能かしら?

いいわ。

実は私、結婚してたのよ。

昔ね。

もちろん愛していたわ。

でも、死んでしまったの。

私が彼と出会った時は、彼は普通のサラリーマンだったわ。

でも、彼はその頃、携帯電話を普及させるビジネスを副業でやっていて、それが成功したのよ。

でっかいカバンみたいな携帯電話機を嬉しそうに肩から下げて。

なんかバカみたいだったけど、私は彼の嬉しそうな顔を見てるのが幸せだったわ。

そして彼は、サラリーマンを辞めて、携帯電話の販売を始めたわ。

これはまだまだいけるってね。

でも、ソコソコ大きな企業が、フランチャイズ店を展開し始めると事態は一変したわ。

表向きから見ると、彼の会社はそれりの規模で、それらに対抗するのに充分な力を持っているように思われてたんだけど・・・

内情は火の車。

以前の成功で手に入れたお金は、既にそこを尽き、借金もかなりあった。

でも、その頃、面白い話が来たの。

携帯電話を一台売ると、メーカーからインセンティブがもらえるんだけど、メーカーが大量の不良在庫を処分するために、その機種に過剰のインセンティブを提示してきたの。

ただ、不人気な商品だから、いくらがんばっても、大して売れやしない。

そこで、彼は、色んな人に名義を借り、その人に基本料金を払って、6ヶ月という、最低契約期間をすぎたら解約してもらい、その差額を利鞘とするという事をやり始めたわ。

他社もやってたし、彼は不正は嫌いな人だったけど、背に腹は変えられず、やり始めた。

それを始めてしばらくして、彼は、ビジネスをバックアップしてくれる青年が現れたと嬉しそうに私に話したの。

これでうまくいくって。

その青年は次々と契約を取ってきた。

インセンティブが入るまでの間、顧客に支払う基本料金は立て替えになるから苦しかったけど、これが上手くいかなければどっちにしろ廃業。

だから彼は耐えた。

耐えた結果・・・

裏切られたの。

青年は、顧客に支払った基本料金をすべて引き上げて、姿を消した。

そして、メーカー側からはインセンティブが支払われるどころか、多額の違約金を請求された。

メーカー側には事情を説明し、彼は青年を警察と裁判所に訴えると言ったが、メーカーは止めろと言った。

表沙汰にはしないようにと。

暗黙の了解で、メーカーも、彼の不正を見て見ぬ振りしていたんだから助けてくれてもいいはずだったのに。

そして、違約金を払わないなら、商品の供給をストップするといわれたけど、もちろんそんなお金、払えるわけないわよね。

そのまま彼は廃業に追い込まれた。

だけど、たぶん、その時点では、やり直しがきかない程のダメージじゃなかったと思う。

だけど、彼の転落は止まらなかった。

彼は、苦しみに耐えるため、薬に走ったの。

薬は、アナタをここまでさらってきた男、浜瀬という男から買っていたわ。

最初は、タダ同然で薬を与え、依存症になった頃に、高額の請求をしてくる。

よくある話・・・かしらね?

そして、払えなくなった彼は・・・

浜瀬の仲間の岡田と言う男にそそのかされ、自分の戸籍まで金に変えた。

私?

知らない間に離婚届けが出されていたわ。

彼の最期の配慮だったのかしらね?

まもなくして彼は死んだわ。

薬でおかしくなっていた彼は、そのまま車を運転して・・・

ガードレールを突き破って崖から落ちた。

なんでそんな所を走っていたかは不明だけどね。

情けないけど、この話を知ったのは殆どが、彼の残した文書でなのよ。

当時は、ほとんど彼の苦しみに気がつかなかったわ。

その後、私は知り合いのスナックで手伝いをして生活していた。

岡田とそこで知り合った。

随分羽振りのいい男だし、悪い奴でも私には優しかったから、付き合い始めた。

でも、何年か経って岡田は、銀行から多額の融資を不正に受けて、計画倒産を狙い・・・それがバレて、捕まったの。

そして、私の所にも警察がきたけど、もちろん何も知らないで通したわ。

で、その時の刑事に聞いた話で衝撃を受けた。

岡田は・・・

夫を騙した男だった。

そして岡田が面倒を見ていた若者の一人が、あの時の青年だったと。

夫は優しくて・・・

プライドが高くて・・・

そして弱い男だった・・・

わかってるわ。

堕ちて行ったのは彼の弱さ。

だけど、夫が墜ちていく原因を作った奴らは許せなかった。

許せないからどうするって気もなかったんだけどね。

数年して岡田が出所してきて、私の前に現れた。

捕まった時は悲しくて離れたくないと思ってたこの男。

しかし、真実を知ってしまった今は・・・憎悪の対象でしかなかった。

私は・・・



「復讐を誓った・・・と?

絵に描いたようなシナリオですね?」

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